梅雨の気配の空を仰いで 2018年5月 刊発売
2018年5月31日 Profile : the Letters
皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
今月中旬は、九州・久留米でリハーサルとコンサートを致しました。久留米に赴くのは2015年以来3年振りで、2年前にオープンした久留米シティプラザグランドホールは私にとって初めて。町の中央にあり、内壁に木をふんだんに使った、自然な響きが豊かな素晴らしいホールです。ラヴェル<古風なメヌエット>やベルリオーズ<幻想交響曲>などの微妙な音色の変化にも素直に反応してくれました。
リハーサルと本番の合間には、久留米市美術館(旧石橋美術館)で<求道の画家 岸田劉生と椿貞夫>展を覗きました。岸田(1891-1929)椿(1896-1957)師弟のタブローを見較べて、工作する様式と個性や大正・昭和といった日本近代美術青春時代の息吹を感じました。米沢出身で鎌倉に住んだこともある椿については私はしらなかったのですが、彼が描いた<壺 (白磁大壺に椿)>の白磁の肌合い、モネの池を彷彿とさせる<白梅と椿一輪>、絶筆となった<椿花図>に感動致しました。
8月の第39回草津夏期国際音楽フェスティヴァルでは、今年生誕200年のグノー、没後100年のドビュッシー、「自然が創造する音楽」というテーマにちなんだシューベルト、ドヴォルジャークなどを演奏致します。グノーの<レクイエム>は日本では殆ど演奏されたことがない作品です。
今後共、何卒よろしくお願い申し上げます。
東京にて、2018年5月
矢崎 彦太郎