秋に語る〈春の戴冠〉 2022年11月 刊発売
2022年11月1日 Profile : the Letters
皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?秋も深まって参りましたと申し上げたいところですが、台風発生のニュースも伝わり、国際情勢同様、各分野に乱気流が感じられます。
学習院大学史料館講座はコロナ対策の為、創立百周年記念会館でも隣を空席にする処置が取られていましたが、ほぼ満席。敬愛する作家、辻邦生著作のボッティチェルリをテーマにした〈春の戴冠〉が休憩後の朗読劇で演じられるので、同作をめぐる私の雑感--〈安土往還記〉とイエズス会、フィレンツェ、フランドル楽派のハインリッヒ・イザークとルネサンス音楽、流れるフランス音楽と辻氏の文章の肌触り、辻氏と親交があった森有正氏の名言「文化の上澄みを掬い取って日本に持ち帰っても何にもならない。文化とは結果ではなく、結果に到る全ての経験なのだから」等々、によって脱線連続のまとまらない話の最後にレスピーギ作曲〈ボッティチェルリの三幅画〉から〈La Primavera (春)〉のCDをお聴き戴きました。街中美術館のようなフィレンツェの薫りを想い出しながらお話をするのは、私にとりましても楽しい一時間でした。
今後共、どうぞよろしくお願い申し上げます。時節柄、御自愛専一に。
東京にて、2022年11月
矢崎 彦太郎