霧雨煙るパリより 2010年11月 刊発売
2010年11月15日 Profile : the Letters
皆様、お元気でいらっしゃいますか?
今秋は、葉の色付きが例年になく見事で、フランス人の友達とも「きれいだネ」と、よく話題になります。9月に一旦低温になってからは穏やかな日が続き、葉が散らなかったからでしょう。こちらでは、紅葉より黄葉が主で、仕事部屋の窓から眺めるマロニエやプラタナスは、巨大な黄金色のドームとなって、曇りの日でも、陽が燦々と射しているかと見紛う風情です。
11月に入ってからも、4日は17℃で、この日の気温としては1924年以来の高温を記録しましたが、今週は本来の11月らしい、雨と風の憂鬱な天気となり、落ち葉が積もり始めました。9日はド・ゴール没後40年、11日は第1次大戦終戦記念日と続き、TVに昔の映像が頻繁に写し出された週でした。興味深かったのは、ド・ゴールについて子供たちにインタビューした場面で、6歳位の小学生の中には「空港の名前になった人だ」という微笑ましい答えもありましたが、数人の高校生が、当時の自由フランス運動やアルジェリア問題に関して、教科書的知識ではなく、賛否を交えながら、自分の見解を得々として語る姿が印象的でした。(日本の同世代の若者で、吉田茂の功罪について話せる者が、どれ程居るのでしょうか?) それは、昨今の定年引き上げ問題を、高校生が既に「自分達の問題」ととらえて、声高にディスカッションする姿と重なります。
12月のコンサートのご案内を同封させて戴きます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
パリにて、2010年11月
矢崎 彦太郎