必聴 ~ 東京シティ・フィルハーモニク管弦楽団 第273回定期演奏会 2013年9月 刊発売
2013年9月5日 News
滅多に聴くチャンスの無いプーランクの「カルメル派修道女の対話」というプログラムで、東京シティ・フィルハーモニク管弦楽団の第273回定期演奏会が以下の要領で開催される。このチャンスを聞き逃す事のなき様、ここに敢えてご案内申し上げる。
日時 : 10/25(金)6:00PM(※開演時間がいつもより早まります)
場所 : 東京オペラシティ コンサートホール
演目 : プーランク/歌劇「カルメル派修道女の対話」(演奏会形式・字幕付)
指揮=矢崎 彦太郎
浜田 理恵(ド・ラ・フォルス)
萩原 潤(フォルス伯爵)
与儀 巧(騎士フォルス・司祭)
小林 真理(クロワシー修道院長)
半田 美和子(リドワーヌ修道院長)
秦 茂子(マリー修道女長)
コロンえりか(コンスタンス)
大川 信之(第一の人民委員)
合唱=東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮=藤丸崇浩)
チケット料金
S¥8,000 A¥7,000 B¥6,000
C¥5,000 X¥3,000(当日券)
60歳以上 PS¥6,500 PA5,800
25歳以下 Y¥4,000
プリンセス・パックS席女性3名様1組¥21,000(10組限定)
尚、今回のプログラムについては矢崎さんから、以下のコメントが寄せられているのでここに掲載する。
フランス音楽の彩と翳vol.20
歌劇「カルメル派修道女の対話」に寄せて
今年は、ドビュッシー、ラヴェル以降のフランス作曲界をリードした「フランス6人組」の一人であるフランシス・プーランク(1899-1963)の没後50年に当たっております。フランス南部のアヴェイロン県出身で敬虔なカトリックの家系を継いだ父と、生粋のパリジェンヌであった母の下、大統領府があるエリゼ宮から数メートルのソッセー広場で生まれた彼の作風は、この両親から授かった真摯な姿勢と軽妙で茶目っけたっぷりな語り口が表裏一体となって混在した、ユニークな世界を繰り広げます。オーケストラ、室内楽、歌曲の各ジャンルに多くの作品を残しましたが、最高の傑作は、ドビュッシーの〈ペレアスとメリザンド〉、ベルクの〈ヴォツェック〉と共に20世紀に書かれた3大オペラと称される〈カルメル派修道女の対話〉です。
台本の原作はフランスの小説家、ジョルジュ・ベルナノスによるもの。しかし、その下敷きになっているのはドイツの女流作家ゲルトルート・フォン・ル・フォルトが1931年に発表した小説〈断頭台最後の女〉で、この小説は、1794年7月17日、フランス革命の「第2恐怖政治」が終わる10日前、コンピエーニュのカルメル派修道女16人が革命法廷で死刑判決を受け、即日パリのトゥローヌ広場でギロチンにかけられたという史実が基になっています。したがって、王政から革命に至る激動の中でのカトリック教会と政教分離や宗教団体内部における個人の信仰のあり方といったテーマに、ナチスが台頭しつつあったドイツの状況も加味された問題作品なのです。
恋愛場面のない、一種の「受難曲」的な珍しいオペラは、初演以来ヨーロッパ、アメリカで大成功を収めました。極限の逆境に直面して動揺する人々の心理描写が、精緻を極めた表現で響く稀有な名作でありながら、日本では演奏されることが少ないので、ぜひ、この機会にお聴き戴きたく存じます。
矢崎 彦太郎