初夏のパリより 2008年6月 刊発売
2008年6月24日 Profile : the Letters
皆様、お変わりなく、お過ごしでいらっしゃいますか?
先日の、フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲伝達式の際には、多くの方々から、お祝いと激励のお言葉を頂戴致しました。誠に有難う御座います。
先週末、ジャカルタから成田トランジットでパリに戻り、只今は充電中です。ジャカルタでは、日本・インドネシア修好50周年記念の一環として、東京シティ・フィルとヌサンタラ響の合同演奏会を2回行いました。お陰様で、連夜スタンディング・オベイションとなり、インドネシア政府高官、日本を始めとする各国大使から、インドネシアの中高校生に至るまで楽しんで戴けるコンサートになりました。シティ・フィルの中に混じって共演したヌサンタラ響のメンバーにとっては、日本のプロオケのレベルとはどういうものなのかを実感してもらえたのが、大きな収穫でした。隣に座って、一緒に弾いて得る体験は、私が100回注意する言葉よりも強いインパクトをもたらします。
インドネシアやタイのオーケストラを向上させるのには、音楽的実力は勿論の事、団体組織としての安定した運営が大きな要で、それには、社会に於ける芸術・文化の占める位置を、政治・経済との関連の中で、どの様に確保していくかといった問題があります。これは一介の外国人の棒フリが簡単に解決出来る事ではありませんが、かといって、何もしないで手をこまねいていては、何も始まらないのは確かです。のたうち回っていれば、いつか、1mmでも前進するかも知れません。現に、今年初めから、2人の若いヴァイオリニストがパリに留学しましたし、さらに今月から他の2人がベルギー等に来ます。より高度な教育を受ける必要があるという意識改革が、音楽家自身と、それを支援する側の双方から、やっと少しづつ始まったのです。今、蒔いている種が実を結ぶ頃、私はもう存在していないと思いますが、色々な種を蒔けるだけ蒔き続ける所存です。
パリ・トゥール・ダルジャンのカーヴィストである林秀樹氏を講師にお迎えする恒例のワイン鑑賞会を、8月4日(月)午後6時30分から開きます。場所は、昨年と同じ、地下鉄南北線、六本木一丁目から徒歩一分のギャラリーアスペンです。会費はお一人様17,000円です。貴重な数少ないワインの故、人数は(*セザミの正規会員)先着12名様に限定させて頂きます。また、この予算で、林氏が彼独自のルートを使って珍しい古酒を見付け、パリから持参致しますので、御出席を申し込まれて受付ました後のキャンセルは御遠慮下さい。止むを得ず欠席される場合でも、申し訳ありませんが、会費をお支払い戴くか、代わりの方を御紹介戴く事になりますのでご了承願います。又、ワインは生き物で、栓を抜いた後も刻々と味が変化しますから、全員が揃わないと開会出来ません。お申し込みは、川名幾子まで。
7月29日のミューザ川崎(JR川崎駅から徒歩2分)での楽しいプーランク作品2曲をシティ・フィルと演奏するコンサートを御案内致します(*コンサート・スケジュール参照)。語りは、元フジTVアナウンサーの中井美穂さんです。
今後共、どうぞよろしくお願い申し上げます。
パリにて 2008年6月
矢崎 彦太郎
(*)印は投稿管理者注。