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インドネシアの定期演奏会 2010年5月4日 発売

News

インドネシアで唯一のクラシック交響楽団たるヌサンタラ・オーケストラの音楽監督に矢崎氏が就任してから、既に5年が経つ。このオーケストラの定期演奏会を聴くのは、昨年5月にハイドンのオラトリオを聴いて以来である。大分レベルアップしている筈との期待を込めて、連休を利用して日本から聴きに行った。

期待に違わず、その演奏の進歩には目を見張るものがあった。勿論、プロのオケとして先進国で通用するか否かには若干の疑問符を付けざるを得ないが、矢崎氏の献身的な指導の成果がありありと見て取れる、長足の進歩であった。先ず、オーケストラが其々の作曲家の音を出すようになっていた。オーケストラがオーケストラとして、一つの楽器として鳴り出していた。そしてなによりも驚いたのは、オーケストラの音が良くなっていたのである。楽器が変わったのではなく、同じ楽器の集合でありながらオーケストラとしての音が良くなっていた。

インドネシアのクラシック音楽家は未だ食べるのが大変である。楽器をやるからと言って、必ずしも裕福な家庭の出とは限らない。日々の生活があるので中々演奏会に備えた練習が出来ない。まともなトレイなーもいない。そして日常の物価が未だ安い分、良い楽器の値段は彼等にしてみれば非常に高価となる。だからプロのオケだと言うのに、日本ならアマチュアも使わないような粗末な楽器を使っている演奏家も多い。そんなハンディを吹き飛ばし、皆が矢崎氏の棒に必死になって従いて行こうと真剣に演奏している。その真剣さには、ある意味で演奏会馴れした上手なプロのオケよりも聴衆を打つものがあるのかも知れない。そして何よりも、オケの団員一人々々がこよなく音楽を愛している事がそのまま伝わって来る、感動的な演奏会であった。

終演後に駐インドネシア日本大使が矢崎氏に言われた次の言葉が我々が感じた事を象徴的に表現されていた。「オケが見違えるように上手になりましたね。日本人として誇りに思います。」

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