ピンチヒッターのお知らせ 2015年1月 刊発売
2015年1月29日 News
皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
御存知のように、パリは騒々しい年明けとなりました。1月11日の「表現の自由を守る」デモ行進には、極く一部ながら私も参加して、地下鉄の1区間を歩きました。政治・宗教以前の問題である人間としての尊厳を守る訴えには、芸術表現に携わる者である以上、知らん顔で済ませられない情動に駆られたからです。70年安保の時は一切ノータッチだった私のデモ・デビューでした。幅広い大通りに溢れる人、人、人。5m歩くのに15分。普段は少し道が渋滞するとすぐクラクションを鳴らすフランス人が、きちんと統制がとれて、時々巻き起こるラ・マルセイエーズと拍手の他は粛々と進み、デモの意味を噛み締めて黙々と歩く姿は荘厳ですらありました。日曜日だったので、子供にも体験させたいという多くの親子連れやベビーカーを押している若いお母さんは印象的で、フランス人が持つ社会の動向への深い関心と反応の速さが培われる根源を垣間見た気が致しました。
東京藝大指揮科の2年先輩で、学生時代から大変お世話になった手塚幸紀氏が御体調不良のため、同封いたしましたお知らせの様に、急遽3月4日の高崎と3月8日に備前でピンチヒッターに立つことになりました。一日も早い御快癒をお祈り申し上げます。
パリにて、2015年1月
矢崎 彦太郎