蝉時雨に打たれながら 2015年8月 刊発売
2015年8月15日 Profile : the Letters
皆様、東京は厳しい暑さの日が続いておりますが、お元気にお過ごしでいらっしゃいますか?
先日、日帰りで京都へ参り、日本の文化庁から派遣された文化交流使経験者の会に出席致しました。私は平成24年度に任命されて、アルジェリア国立交響楽団の育成に努め、アルジェリア独立50周年及び日本・アルジェリア修好50周年記念コンサートを、アルジェやコンスタンティーヌで開きました。文化交流使の多くは美術・工芸・舞台芸術・囲碁等日本の伝統的文化に携わる方です。分野を異にする方々が外国で御苦労された経験談は私のように40年以上ヨーロッパに居り、西欧の音楽に従事する者にとって、新鮮で興味の尽きない内容でした。
常々思っている文化の浸透は「質」に関わることで、数字で計れる「量」ではないことを再確認し、森有正氏が述べられた「文化の上澄みだけすくい取っても、何もならない。文化とは結果ではなく、そこに到るすべての経験なのだから」という言葉を改めて痛感致しました。文化に対する価値観の減少・欠如はグローバルな問題です。
例によって、コンサートのお知らせを同封致しますが、9月24日の大阪ザ・シンフォニーホールに於けるコンサートは、御案内に記されているように抽籤ですので、応募される方は「矢崎のファンクラブであるヤザキ・エ・セザミ会員」とお書き添え下さい。
今後共、どうぞよろしく願い申し上げます。
東京にて、2015年8月
矢崎 彦太郎