冬空のパリに戻って 2016年1月 刊発売
2016年1月24日 Profile : the Letters
皆様の2016年が更に一層煌めく年となられますよう、心からお祈り申し上げます。
元旦を東京で過ごすのは10数年ぶりでしたが、以前のように襟を正して新しい年を迎えるといった日本独特の厳粛な雰囲気は余り感じられませんでした。1月1日だけ休日というヨーロッパに長く暮らしているので、期待が大き過ぎたのかもしれません。年の暮れは、<第九>の演奏と、前座の一部に家内が出演した調布の深大寺に於ける「天台聲明の会」が一段落したところで四国へ向い、今治に住む友人を訪ねた後、かねてから念願の坂出にある崇徳上皇の白峯御陵に参詣致しました。
パリに戻る機中で手にした週刊誌に、鎌倉の県立近代美術館が1月末に閉館になるという記事が載っていてびっくり。鶴岡八幡宮の平家池沿いに建てられたのは私が4歳の時で、当時の我が家から歩いて6、7分の身近な美術館には、子供の頃から入り浸っていました。作家の小島政二郎氏宅の前にあった古書店は家から1分。「三つ子の魂百まで」よろしく、今も続く美術館・古書店巡りの習慣を形作った私にとってのモニュメントが消えるニュースは、時の流れを思わせます。
本年も、何卒よろしく、お願い申し上げます。
パリにて、2016年1月
矢崎 彦太郎