皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか？

バンコクから南東へ車で約2時間、タイ湾に面したリゾート地のパタヤから更に30分ほど東へ進んだ郊外のサンセット・ビーチでひらかれる毎年恒例のシルパコン・サマー・ミュージック・スクールに来て居ります。オーディションに合格した若い音楽家達がタイ国中から集うオーケストラを、指導・指揮するのは今年で7回目の今回は、お隣のマレーシアからも10名近くの参加者がありました。マスネー〈アルザスの風景〉、チャイコフスキー〈1812年序曲〉、ブラームス〈交響曲第2番〉といった多彩なプログラムで、連日5～7時間の合奏練習の間には、各楽器の教授陣による分奏練習もあり、1週間音楽漬けになって、パタヤとバンコクのコンサートに臨みます。

スポンサーの一つであるサイアム・コマーシャル・バンク（SCB)が無料開放して食事も提供してくれる銀行の研修所は海岸沿いの広大なロケーション。真西に開かれたヴィラのヴェランダからは、サンセット・ビーチの名のとおり、幾条もの巻雲をブロンドに煌めかせながら、波のリズムに合わせて沖の島影にゆっくり沈む南国の太陽を望めます。リハーサルが終わった暫しのリラックス・タイムには、来月東京藝大で演奏するサティ作曲の〈ソクラテス〉に引用されたプラトンの〈パイドロス〉や〈パイドン〉を読んでいるので、エーゲ海の夕焼けを想い出しました。タイ湾ではオレンジ色の輝きが強いのに対して、エーゲ海では紅が勝っていたように思われます。

今後共、何卒よろしくお願い申し上げます。

タイにて、2016年4月

矢崎　彦太郎