皆様、お元気でお過ごしでいらっしゃいますか？

今年3月に行われました、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ叙勲伝達式の際には100名近くの方々が御臨席下さいましたが、その後、せっかくこれだけの方々が集まったのだから、人の輪をもう少し結びつけて、応援団のようなものに発展させたらどうかという御意見を多数戴きました。私にとりまして、身に余る光栄なお言葉でありまして、皆様の温かな御心配りには感謝感激の極みです。しかし乍ら、日本を留守にしている期間もありますし、どうしたものかと躊躇致しておりました所、幼稚園時代からの親友で現在は廣屋インターナショナル株式会社社長として忙しく国内外を飛び回って活躍されている濱口篤志君が中心になり、以前パリに住んでいらした川名幾子さんが会計という面倒な役でお手伝いして下さるという事で、Yazaki et ses amis という会を来春早々に発足して戴く運びになりました。

2002年は、私がヨーロッパに移り住んで30年になる節目の年であり、日本では東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の主席客演指揮者に就任致します。東京シティ・フィルとは通常の定期演奏会の他に、私がプロデュースする《フランス音楽の彩と翳》 (Ombres et Lumières – Musique française) というシリーズを始めさせて戴くことになりました。これは、フランス音楽を単に羅列して演奏するという事ではなく、バレエ、演劇といった舞台芸術や美術、文学とも関連が特に密接なフランス音楽を、種々のテーマを基にプログラミングする事によって、音楽を通してフランス文化全体のパースペクティヴを多角的に御紹介しようと試みる少々欲張った企画です。私の簡単なお話しも交えて、皆様にフランスの息吹きと香りを共感して戴きたく、オーケストラも私も大いに張り切って演奏に臨む所存でございます。

皆様方の尚一層の御支援、御鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

パリにて、矢崎彦太郎