新春の日本に舞い戻って 2007年1月 刊発売
2008年4月8日 Profile : the Letters
新年の御挨拶には少し日が経ってしまいましたが、2007年もどうぞよろしくお願い致します。
イノシシは私の干支ですので、初心にかえって猛進しようと思って居りました所、万年時差の睡眠不足に加えて、11月末に罹った帯状疱疹と風邪の為に体力が落ちていたのか、クリスマス前にパリへ戻っても、必要最少限のミーティングと打ち合せ以外は、毎日グータラな生活をして居りました。朝食後、サロンで私専用のソファに座ると、すぐ居眠りを始め、夕食時には食べながら寝てしまうという次第。スイスの家族が、久しぶりに会いにおいでと誘ってくれたり、フランスの友人が、ノルマンディーにある別荘をいつでも使っていいよと鍵を貸してくれたのに、今さらカバンに荷物を詰めて旅出でる等という気力は皆無でした。こんな生活を正月過ぎまで続け、1月7日に成田に着いてから、又、又、飛行機に乗っている時がリラックス・タイムという生活が始りました。このメッセージも、金沢でのマチネー本番後、羽田に戻る機中で書いていますが、東京の家に一泊して、明日はバンコクへ発ちます。
2月、3月のコンサートの御案内を同封致します。2月14日の東京シティ・フィル定期演奏会では、ウィーン世紀末の作品を特集にして居ります。35年前、ヨーロッパに渡って最初に住んだ町がウィーンでした。当時は、まるで時の流れが止ったかの如く、町中博物館の様な街並みで、音楽家だけでなく、クリムトやココシュカも、つい最近までこの空気を吸っていたと思わせる独特な雰囲気が、そこかしこに漂っていました。それは、初めて外国で一人暮らしを始めた多感な(?)青年にとっては、極めて鮮烈な印象だったのです。あの感覚を皆様にお届け出来ればと念じて居りますので、ぜひ御臨席戴きたく、御案内申し上げます。
JL1282機中にて、矢崎彦太郎