肌寒い春のパリより 2012年4月 刊発売
2012年4月22日 Profile : the Letters
皆様、お元気にお過ごしでいらっしゃいますか?
2ヶ月半ぶりでパリに戻りました。シャルル・ドゴール空港は春雨が煙り、一面靄って居りましたが、我がアパルトマンに着いてしばらくすると陽が差して、マロニエの若葉が一斉に輝き始めました。日の入りは9時近くで、長くなった夕暮れが季節の移ろいを感じさせるとはいっても、朝晩は5℃。日本でようやく春らしい気温に慣れ、バンコクで32℃まで達したのに、また冬に逆行です。バンコクも、年間で一番熱い乾期で40℃を下らないはずの4月にしては涼しく、雨降りの日もあって、今までの常識は、どこでも全く通用しなくなってきました。
年に1度、タイ国中の若い音楽家を集めるサマー・ミュージック・キャンプでオーケストラの指導を要請されたのは一昨年。3回目に当たる今年は、ショスタコヴィッチの交響曲第5番をメインに据え、前半はラヴェルの”逝ける王女のためのパヴァーヌ”と”ボレロ”の間にハイドンのピアノ協奏曲を置いた盛り沢山なプログラム。例年のようにピアノのソリストを選ぶコンクールも同時に行われ、11歳のNattawat Luxsuwong君が優れた音楽性を示して優勝し、協演致しました。一昨年に優勝したGun Chaikittiwatana君と同様、確実な技術がありながら、そのテクニックを感じさせない豊かで自然な表現力は、この国の若いミュージシャンの明るい将来性が顕著でした。10年後が、本当に楽しみです。
フランスは今週末に大統領1次選挙が行われるので、何かと慌ただしい雰囲気です。5月には昨年に引き続き、九州の鳥栖で”ラ・フォル・フルネ”に出演致しますので、ご案内を同封させて頂きます。
パリにて、2012年4月
矢崎 彦太郎